背徳と退廃の華。

竹宮惠子風と木の詩』全10巻。
風と木の詩 (第1巻) (白泉社文庫)
再読終わりました。ワシは、文庫版で持ってるので、全10巻。オモロかった。ラスト、大泣き。
ギムナジウムを舞台に、少年愛をテーマにしたマンガの傑作。
ソレにしても、1970年代の少女マンガは、スゴいな!!少年愛、男色、近親相姦、強姦、輪姦、売春、自殺、心中、リンチ、不倫、かけおち、身分違いの恋愛、麻薬、ナドナドなんでもありのマンガが、堂々と少女マンガ誌に連載され、しかも、小学館漫画賞受賞。(今の、BL(ボーイズラブ)マンガは、ある意味隔離された雑誌・コミックで、限定された読者を相手にしているカンジがある。)
えっとー、このマンガは、出てくる男キャラたちが、クセモノぞろいで、超魅力的なので、とりあえず、ワシの好きなキャラ・ランキングで、ご紹介。(ネタバレの恐れあり、なので、読みたくない方は、飛ばしてクダサレ。)
*次点*オーギュスト・ボウ。(ジルベールの叔父。破滅的なジルベールを生み出した、諸悪の根源。冷酷で非道。でも、全編読み通してみると、たとえその手段・表現法が歪みまくっていたとしても、一途にジルベールを愛してたんだなぁ、と思った。)
*5位*ワッツ先生。(ラコンブラード学院の先生。セルジュ父アスランの学生時代の友人。心配性のおせっかい焼き。)
*4位*アスラン・バトゥール。(セルジュの父。このマンガで、イチバンの正統派美青年。純粋で、意志のヒト。)
*3位*パスカル・ビケ。(セルジュの友人。1歩ひいた位置から、セルジュとジルベールを見守る傍観者。ラストら辺の、活躍が良い。妹のパットも好き〜。)
*2位*セルジュ・バトゥール。(父・アスランのまっすぐな性格を受け継いだ、真面目でまっすぐな少年。もう、ラストのパリ編が、セルジュに対して、辛すぎて辛すぎて、読んでてホント苦しい。。。)
*1位*ジルベールコクトー。(背徳と退廃の華・ジルベール。愛に飢えた少年。肌と肌を合わせることでしか、他人を信じられない。ジルベールという、超越的で、魔的で、唯一無二のキャラの確立あってこそ、このスゴいマンガがあり得たんだろーなぁ、とゆうくらい、シンボル的なキャラ。)
とゆーカンジです。
ジルベールとセルジュ。育てられ方も、容姿も、性格も、信念も、まったくもって対称的、でもドチラも孤独な2人が、反発しあいながら惹かれあってゆく。その2人にまとわりつく、周囲のヒトビトの、思惑・嫉妬・しがらみ・悪意・同情。さまざまな登場人物の、心理描写が複雑に絡んで、ストーリィは、大きくうねる。(この心理描写が、時代の違いなのか、けっこー難解。オーギュの歪んだ愛情、ジルベールの破滅的な性格、セルジュの正義から愛へとかわる過程、理解しづらい場面も多々。)
ラストは、あまりにも悲劇的すぎるのだけれど、まぁ、そーしなきゃ、ストーリィが収拾つかなかったかもなぁ。。。と、思ってしまう。(でも、泣ける。)
ジルベールを失ったセルジュが、立ち直るトコロで、物語は終わるけど、ナニか、すっごく寂しい感じがした。ジルベールのコトを、若気の至りとか、青春の気の迷いとゆーか、そうゆう一過性のものとして欲しくないなぁ、とゆーか。セルジュには、ず〜っとジルベールにとらわれ続けて欲しいなぁ、とゆーか(まぁ、音楽を通して、とらわれ続けるのですけど。)。
なんとゆーか、今後のセルジュの人生が、音楽家として成功して、例えばパットなんかと結婚して、幸せに過ごしました、となると、一読者としては、モノスゴ〜くやるせないなぁ、とゆーか。う〜ん、難しい。。。
まぁ、とにかく、読んでみてクダサレ!